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萩原義弘 SNOWY

2023年8月11日(金/祝)~11月12日(日)

冬、北海道の炭鉱では厳しい環境の下で石炭を掘り、人々は生活をしていた。雪に覆われた炭鉱住宅(炭住)のいくつもの煙突からは煙がたなびいていた。石炭ストーブから出た灰が炭住の前に捨てられ、遠くからでも雪は少し黒ずんで見えた。私が40年前に夕張を訪れた時は、雪は決して白くはなかった。しかし、炭鉱が次々と閉山して人々が去ると、産炭地の薄汚れた雪は白へと変わっていった。
廃鉱となった北海道の炭鉱や東北の鉱山へ人々の生活の痕跡を探して、雪深い山中を歩いた。そこでは人工物と自然が生み出した得体の知れない生物や砂糖菓子のような造形が私の目の前に現れ、その驚きと美しさの虜になっていた。
一冬限りの風変わりな光景は、やがて来る春の訪れと共に跡形もなく消えてしまう。私のフィルムだけに残る二度と見ることができない風景である。

 


 

季刊誌『NANAWATA NOTE 15』に掲載した作家インタヴューは、こちらからご覧いただけます。

萩原 義弘 プロフィール

1961年群馬県高崎市生まれ。1985年日本大学芸術学部写真学科卒業。毎日新聞社出版写真部を経て2007年フリー。主な展覧会に1999年「巨幹残栄」ヘルテン国際写真フェスティバル(ドイツ・ヘルテン市)、2004年「炭鉱(ヤマ)へのまなざし 常磐炭田と美術」いわき市立美術館(福島県いわき市)、2009年「‘文化’資源としての〈炭鉱〉展」目黒区美術館(東京・目黒)、2010年「第26回写真の町東川賞受賞作家展・SNOWY、夕張定点観測」(北海道東川町)、2018年、「窓」Gallery nayuta(東京・銀座)、2019年「鍰」ギャラリー冬青(東京・中野)など。写真集・著作に『巨幹残栄・忘れられた日本の廃鉱』(窓社)、『SNOWY』『SNOWY Ⅱ』(冬青社)、『にっぽん木造駅舎の旅100選』(平凡社)。2001年さがみはら写真新人奨励賞、2010年写真の町東川賞特別作家賞。
萩原義弘のすかぶら写真日記

関連イベント

2023年9月10日(日)午後2時(開場午後1時)

トークイベント「痕跡の美」

  • ゲスト
    佐藤時啓(土門拳記念館館長)
  • 料金
    1500円(エクレア・飲みもの付)
    定員
    35名(終了しました)
佐藤時啓 プロフィール

1957年、山形県酒田市に生まれる。1981年、東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。1983年、同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。1990年、第6回東川賞新人作家賞受賞。1993年、メルセデス・ベンツ・アート・スコープ賞受賞によりフランス滞在。1994年、文化庁在外研修員としてイギリス滞在。2015年、第65回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2023年より土門拳記念館館長に就任。

 

     

 

萩原さんと佐藤さんのトークの抄録は、こちらからご覧いただけます。

 

交通アクセス

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