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橋本トモコ 川を歩く

2022年4月29日(金/祝)~7月24日(日)

2年前の冬、私はビルスリバーのほとりにいた。ビルスリバーは、スイス・バーゼルを流れる小さな川で、ドイツとの国境、ライン川に流れ込む。滞在場所から自転車でビルスリバーまで行き、ほとりに停め、川沿いの小道を歩いた。Google Mapを見ながら前日の最終地点まで自転車を走らせて、そこからまた、昨日の続きを歩く。そうして少しずつ、街を離れ、住宅街を抜けて、森の中を上って行く。枯れ木の間から息を呑むような美しい川が見える。まるでオフィーリアが浮かぶ絵のような、そんな川が本当にあるのだ。
鼻の奥が痛くなるような冷たい空気と、頭がしびれるような孤独と自由。眼前に広がる川のイエロー、グリーン、ブルー。
川を歩きながら考える。やがて、オフィーリアも底に沈み、水に溶けていくだろう。私も、そこにあるものもすべて、いつかは朽ちて、水となっていく。水は大地に深く沈み、川になり海になり雨になって、私の知らない命に降りそそぐ。

 


 

季刊誌『NANAWATA NOTE 10』に掲載した作家インタヴューは、こちらからご覧いただけます

橋本トモコ プロフィール

1969年千葉県に生まれる。1996年多摩美術大学大学院美術研究科修了。2002年第17回ホルベイン・スカラシップ奨学生。2003年第6回資生堂ADSP選出。2019年アーティスト・イン・レジデンスでスイス・バーゼルに滞在。主な展覧会に2009年「VOCA展2009 現代美術の展望 −新しい平面の作家たち」(上野の森美術館)、2014年「橋本トモコ 白い光、落ちる闇」(千葉市民ギャラリー・いなげ、 旧神谷伝兵衛別荘)、「ワンダフル ワールド」(東京都現代美術館)、2017年「クインテットⅢ −五つ星の作家たち」(東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)など。

橋本トモコ WEBSITE

関連イベント

2022年6月5日(日)午後2時開演(午後1時開場)

トーク「時空をめぐる、時空をつくる」

  • ゲスト
    野田尚稔(世田谷美術館学芸員)
  • 料金
    1500 円(エクレア、飲みもの付)
    定員
    30名=終了しました
野田尚稔 プロフィール

世田谷美術館学芸員。主な担当展覧会は「クリエイターズ――長大作/細谷巖/矢吹申彦」(2006年)、「建築がみる夢――石山修武と12の物語」(2008年)、「橋本平八と北園克衛展」(2010年)、「榮久庵憲司とGKの世界――鳳が翔く」(2013年)、「ブルーノ・ムナーリ――役に立たない機械をつくった男」(2018年)、驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥――版という場所で(2021年)など。

 

 

     

(写真撮影:金田幸三)

 

橋本さんと野田さんのトークの抄録は、こちらからお読みいただけます。

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