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李晶玉 神話#2

2023年11月25日(土)~2024年2月4日(日)

本展では在日朝鮮人3世である作家が、日本・韓国・北朝鮮の三つの国の神話をベースに制作した作品を展示する。日本からは天岩戸伝説。太陽神である天照大御神が天岩戸という洞窟に隠れ、世界が暗闇に包まれたという逸話である。韓国からは延烏郎(ヨノラン)細烏女(セオニョ)伝説。日月の精である延烏郎・細烏女という夫婦が海岸にあった大きな岩に乗って日本に渡り王になったという逸話である。この時新羅に日月の光が無くなり、王が使者を倭国に派遣して二人の帰国を求めたが二人は帰らず、代わりに細烏女の織った絹を使者に渡して天を祭るように言った。使者の報告を聞いて王がその通りにすると、日月に光が戻った。天を祭った地は迎日県といい、また都祈野(ときや)という。韓国の教科書にも載っている逸話である。北朝鮮からは特定の逸話を引用するのではないが、革命の聖地と呼ばれる白頭山を舞台に、朝鮮民主主義人民共和国の建国の土台となっている金日成神話の肖像画を描いた。金日成とは実は渾名で、朝鮮の太陽に成る人として革命同志に呼ばれた名前とされている。これら三つの神話は「太陽が隠れる神話」である。作家は日本の東京生まれで、戦時中に渡日した祖父の故郷は韓国の慶尚北道だが、作家の所属する朝鮮総連は北朝鮮を祖国とする共同体だ。今回三つの舞台でそれぞれ衣装を着る人物は作家自身であるが、いずれも観光地の顔出しパネルのような軽薄さで演じている。虚構が現実を整備し、神話が個人の物語になること。境界的な立ち位置からの、物語の虚構性と現実性を表したいと考えている。

 


 

季刊誌『NANAWATA NOTE 16』に掲載した作家インタヴューは、こちらからご覧いただけます。

李晶玉(リ・ジョンオク) プロフィール

1991年東京都生まれ。2018年朝鮮大学校研究院総合研究科美術専攻課程修了。主な個展に「BLUEPRINT」(2023年、ギャラリーQ)、「SIMULATED WINDOW」(2022年、原爆の図丸木美術館)、「記号の国」(2021年、ギャラリーQ)、「神話 #1」(2018年、eitoeiko)など。主なグループ展に「Kiaf SEOUL 2023」(2023年、韓国・ソウル国際アートフェア、HIGHLIGHTS人気投票上位3名選出)、「多国籍美術展『わたしたちはみえている-日本に暮らす海外ルーツの人びと』」(2021年、北千住BUoY)、「オモシロガラ」(2021年、ドイツ・DKM美術館)、「平成美術:うたかたと瓦礫(デブリ)1989-2019」(2021年、京都市京セラ美術館)、「VOCA展2020 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(2020年、上野の森美術館、奨励賞受賞)、「京畿千年記念特別展『コリアン・ディアスポラ 離散を超えて』」(2018年、韓国・京畿道美術館)、「第6回都美セレクション展『境界を跨ぐと、』」(2017年、東京都美術館)、「現在戦争画展(2016年、TAVgallery)、「在日・現在・美術Ⅱ」(2016年、eitoeiko)、「武蔵美×朝鮮大『突然、目の前がひらけて』」(2015年、武蔵野美術大学/朝鮮大学)など。

関連イベント

2023年12月3日(日)午後2時(開場午後1時)

トークイベント「虚構と現実のあいだで」

  • ゲスト
    長谷川新(インディペンデントキュレーター)
  • 料金
    1500円(エクレア、飲みもの付)
    定員
    35名(終了しました)
長谷川新 プロフィール

1988年生まれ。主な企画に「クロニクル、クロニクル!」(2016-17)、「不純物と免疫」(2017-18)、「グランリバース」(メキシコシティ、2019-)、「αM Project 2020-2021 約束の凝集」(2020-21)、反戦展(2022-)、「奈良・町家の芸術祭 はならぁと 宇陀松山エリア SEASON2」(2023)など。「日本戦後美術」を再検討する「イザナギと呼ばれた時代の美術」を不定期連載中(Tokyo Art Beat)。高橋沙也葉・松本理沙・武澤里映・長谷川新の4人でジュリア・ブライアン=ウィルソン著『アートワーカーズ(仮)』を翻訳中。

 

 

 

李さんと長谷川さんのトークの抄録は、こちらからご覧いただけます。

 

交通アクセス

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駐車場:提携駐車場(らくだプラザ)あり

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